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相続ブログ

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2019年

遺言の撤回?

 一度書いてしまった遺言は、撤回はできないのでしょうか。

 この点について、民法1022条には、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」と規定されており、また、民法1026条においては、「遺言者は、その遺言を撤回する権利を放棄することができない。」と規定されております。

 したがいまして、一度書いてしまった遺言でも、いつでもその全部又は一部を撤回することができる(むしろ、撤回できないようにすることはできない。)、ということになります。

 

 遺言の撤回の方法には2種類あり、1つは、上記民法1022条に規定されている、撤回遺言と呼ばれる方法です。

 これは、前に記載した遺言を撤回する旨の遺言を新たに作成する方法です。

 この場合、その撤回遺言と同一の遺言により、新たな遺産の分配方法等を定めることもできます。

 

 次に、法定撤回と呼ばれるものがあります。

これは、以下に記載する事実があった場合に、遺言の撤回を擬制(みなす)もので、以下の4つの類型があります。

1 抵触遺言

 前に記載した遺言に抵触する内容の遺言が新たに作成された場合、抵触する部分について、前の遺言は撤回したものとみなされます。(民法1023条1項)

2 抵触行為

 遺言者が、遺言の内容に抵触する行為を行った場合、抵触する部分について、前の遺言は撤回したものとみなされます。(民法1023条2項)

 例えば、特定の不動産を譲渡する旨の遺言が作成されている場合に、その後、遺言者が当該不動産を売却した場合等が挙げられます。

3 遺言の破棄

 遺言者が、遺言そのものを故意に破棄した場合には、遺言は撤回したものとみなされます。(民法1024条前段)

 ただし、公正証書遺言による方法で遺言を作成していた場合、遺言の原本は公証役場に保管されているため、当該方法による撤回は困難です。

4 遺贈の目的物の破棄

 遺言者が、故意に遺贈の目的物を履きした場合も、遺言は撤回されたものとみなされます。(民法1024条後段)

 

 以上のとおり、遺言は遺言者の生前はいつでも撤回することができ、その方法も複数あります。

 しかし、「抵触」とはどのようなことを指すのか等、難しい問題があるケースもあります。

 遺言の撤回をお考えの方は、自らの意思が十分尊重される結果となるように、一度、弁護士に相談されることをお勧め致します。

 弊所に、ぜひお気軽にご相談頂ければと思います。
 
    岐阜大垣事務所 弁護士 佐藤康平

 

1 はじめに
 さて、このブログでも、これまで何回かのテーマに分けて、相続法の改正について取り上げさせていただいてきました。今回は「持ち戻し免除の意思表示」に関する改正についてお話させていただきたいと思います。
 今回のテーマのポイントは、婚姻期間が20年以上で夫婦間における居住不動産の遺贈または贈与の場合、相続法改正により、先払いされた遺産の取扱にかかる原則と例外が逆転する点です。

 

【具体例】                                   
 Aさんは婚姻して20年以上になる妻XとAさん名義の自宅で暮らしていました。Aさんは自分の死後に高齢の妻Xが住む場所に困ることがないように、自宅を妻Xに生前贈与しました。Aさんが預貯金1000万円を遺して亡くなり、自宅は1000万円の価値があったとします。Aさんの相続人としては、妻Xの他に、前妻との間の子Yが居ました。
                                        
 共同相続人の一部に被相続人から遺産の前渡しとなるような贈与や遺贈を受けた特別受益者(今回の妻X)がいる場合、先払いされた遺産を持ち戻して、具体的な相続分を算定する元になる相続財産を決定しなければ、不公平といえます。他方、被相続人と長年生活を共にしてきた配偶者(今回の妻X)の自宅に居住する権利は強い保護に値するともいえます。
 現行法と改正法では、「持ち戻し免除の意思表示」に関する改正により、どのような違いが出ることになるのでしょうか。

2 現行法の場合
 婚姻期間が20年以上で夫婦間における居住不動産の遺贈または贈与の場合であっても、原則、被相続人から相続人への一定の贈与分を持ち戻して、具体的な相続分を算定する元になる相続財産を決定します。例外的に、受益者たる相続人が、被相続人から相続人への一定の贈与分を考慮しない旨の意思表示(持ち戻し免除の意思表示といいます。)をしていたことを立証した場合、先払いされた遺産を持ち戻さず、死亡時に遺されていた財産のみを遺産分割の対象として相続分を算定することになります。
【具体例の場合】
 妻Xは、Aさんが明示もしくは黙示に「自宅不動産の生前贈与にかかる特別受益の持ち戻しは免除する」旨の意思表示を行っていたことを立証できなければ、Aさんが亡くなった際に遺っていた預貯金1000万円と、自宅不動産の価値1000万円を合計した上で、妻Xと子Yの取り分を計算することになります。法定相続分に従って分割することになれば、妻Xは自宅不動産のみを取得し、預貯金を取得することはできません。
3 改正法の場合
 婚姻期間が20年以上の夫婦において、居住用不動産について遺贈又は贈与があった場合、持ち戻し免除の意思表示があったものと推定されることになりました。
【具体例の場合】
 子Yは、持ち戻し免除の意思表示がなかったことを立証できなければ、Aさんが亡くなった際に遺っていた預貯金1000万円の分割方法を、妻Xと子Yで協議することになります。法定相続分に従って分割することになれば、妻Xは自宅不動産のほか、預貯金500万円も取得することになります。

4 おわりに
 改正法では、今回ご紹介した「持ち戻し免除の意思表示」の推定のように、配偶者の居住権がより強く保護される場面が増えました。その他の改正点等によっても、相続問題については、今後、従前とは異なる対策が迫られる事態が想定されます。
 相続に関してお困りの点がありましたら、お気軽に弊所所属の弁護士にご相談ください。

 

    名古屋新瑞橋事務所 弁護士 田村祐希子

 自筆証書遺言に係る遺言書は,容易な遺言方式で費用も要せず,秘密性を保持できる等の利点もありますが,自宅で保管されることも多く,遺言書の紛失・亡失のおそれや,相続人による遺言書の破棄・隠匿・改ざんのおそれがある等の可能性がありました。

 そこで,対応策として,公的機関で遺言書を保管する制度が創設されることになりました。
平成30年7月6日,法務局における遺言書の保管等に関する法律(平成30年法律第73号)が成立し(同年7月13日公布),遺言書保管法の施行期日は,施行期日を定める政令において令和2年7月10日(金)と定められました。

 遺言書保管所に保管されている遺言書については, 遺言書の検認(民法第1004条第1項)の規定は,適用されません(第11条)。従前は,公正証書遺言の場合にのみ,検認を不要としていましたが(民法第1004条第2項),今後,当該保管制度を利用すれば,家庭裁判所での検認手続が不要になります。
 

 相続をめぐる紛争を防止するために,遺言書の作成をお勧めしますが,どのような方式・どのような内容での遺言書を作成するか等にてお困りの方・お迷いの方は,気軽に弊所までご相談ください。

   名古屋丸の内本部事務所 弁護士 奥村典子

 この度,40年ぶりに民法の相続法が改正されることとなりました。

 以前のブログでもいくつか内容を紹介させていただいておりますが,今回は,遺産分割前の払い戻し制度について紹介させていただきます。

 以前は,被相続人が亡くなられると,銀行口座が凍結され,遺産分割が終了するまで引き出しができなくなってしまうことから,葬儀代や病院費用の支払いに苦慮するというケースが生じてしまっておりました。

 そこで,今回の相続法の改正により,2019件7月1日以降,それぞれの相続人が,他の相続人の協力や,裁判所の協力の必要なく,一定の金額を銀行口座から引き出すことができるようになりました。

 具体的な金額としては,口座残高の3分の1に法定相続分をかけた金額で,1銀行あたり150万円を超えない金額となります。

 この制度は,当面の金額の確保のための制度であり,紛争の終局的な解決を目的とするものではありません。相続人間に争いがある場合は,この制度により当面の金額を確保し,弁護士等の専門家に相談していただくことをお勧めさせていただきます。

 

  小牧事務所所長 弁護士 遠藤悠介

 

 昨今,民法改正に伴い,相続分野に関する法律が変更されています。

 身近なところでいいますと,自筆証書遺言の方式が緩和されることとなりました。

 これまで,自筆証書遺言については,遺言者がその全文,日付及び氏名を自書し,これに印を押さなければならないとされておりました(民法第968条1項)。自筆証書遺言を作成する際,遺産の内容を列挙するため,財産目録を作成することがありますが,これもまた手書きで記載しなければなりませんでした。

 しかし,財産の種類・数が多い場合などであっても,手書きで財産目録を記載しなければならないため,遺言を書こうとする方にとって大きな負担となっておりました。

 そこで,今回,民法改正に伴い自筆証書遺言の方式が緩和され,自書によらない,すなわちパソコン等で作成した財産目録を添付することができ,通帳のコピーの添付も許容されることになりました(2019年1月13日より施行)。この場合でも,偽造防止のため,財産目録等に署名捺印することは必要ですが,従前よりもずっと自筆証書遺言作成の負担が軽減されています。

 近年,遺産分野に関しては,上記の他,「法務局における自筆証書遺言の保管制度」等,新たな制度が創設される予定となっており,その制度は目まぐるしく変化しております。

 遺言に関しては,遺言者の気持ちとは裏腹に,相続人間で争いが起こってしまうことが少なくありません。遺言を残そうとされる方は,ぜひ一度専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

   名古屋丸の内本部事務所 弁護士 黒 岩 将 史

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